債権回収の主な手順

1 任意的な回収(当事者間の交渉による回収)

まずは、当事者間の話し合いによって、任意で債権の回収を図ることを検討します。

法的回収には、一定の時間・費用がかかりますので、相手方と交渉の余地がある場合には、当事者間の交渉により任意的な回収を試みるメリットは大きいともいえます。

当事者間で交渉が成立した場合の対応

契約書の作成

交渉が成立した場合には、合意内容を確認しておくため、当事者間で契約書を作成しておくことが望ましいといえます。

公正証書の作成

契約書を公正証書で作成することによって、将来、合意内容が履行されなかった場合に、強制執行による回収が可能となる債務名義として用いることができます。

訴え提起前の和解

合意が成立した場合に、簡易裁判所に和解を申し立て、紛争を解決する手続です。当事者間に合意があり、かつ、裁判所がその合意を相当と認めた場合に和解が成立し、合意内容が和解調書に記載されることで確定判決と同一の効力を有する債務名義として用いることができます。

当事者間で交渉が成立しなかった場合の対応

民事調停の利用

交渉がまとまらない場合には、簡易裁判所における民事調停手続の利用も考えられます。

民事調停手続では、当事者双方が裁判所に出頭する必要がありますが、調停委員を介して当事者間で話し合いが行われ、合意に至った場合には、合意内容が調停調書にまとめられます。

調停調書も確定判決と同一の効力を有する債務名義として用いることができます。

2 強制的な手段による回収

(1)保全手続の利用

訴訟によって勝訴判決を取得しても、実際に強制執行を行う際に債務者の財産が減少してしまうこともあり得ます。このような事態を避けるため、裁判所に申請して債務者が財産を勝手に処分することを禁止させる民事保全手続が設けられています。

債権回収の前提としては、金銭債権の執行を保全する仮差押手続が用いられます。

仮差押えが認められるためには、保全されるべき権利が存在し、かつ、その権利を保全する必要性が存在することが必要です。

また、債権者の主張だけで可否が判断されることから、後の訴訟手続において債権者の主張が認められなかった場合に債務者に生じる損害を担保するため、一定金額(債権額の10~30%程度)を供託することが条件とされます。

なお、仮差押えによって、財産が凍結されることは債務者にとって大きな打撃となりますので、仮差押えを解除してもらうために債務者が任意の履行に応じることもあります。

(2)裁判手続の利用

支払督促

債権者が、金銭等の給付を目的とする請求について、債務者の住所地を管轄する簡易裁判所に支払督促を申し立てることにより、簡易迅速に債務名義(仮執行宣言付支払督促)を取得できる手続です。

支払督促の特徴としては、債権者の主張に基づいて債務名義を簡易迅速に取得し、強制執行によって債権回収を行うことが可能となります。

しかし、債務者からの異議申立があると通常の訴訟手続に移行しますので、債権額や債権の存否等に争いがある場合の利用には適しません。また、相手方に支払督促が送達されることが必要ですので、債務者が所在不明の場合には利用できません。

通常訴訟

債権者が、裁判所に訴状を提出し、債権者が原告、債務者が被告として、双方の主張・反論を繰り返し、訴状記載の主張が認められるか証拠に基づき裁判所が判断する手続です。債権額が140万円以下の場合は簡易裁判所、140万円を超える場合は地方裁判所が管轄となります。

訴訟手続中に、当事者間で和解が成立して訴訟が終結することもあります。

訴訟手続の特徴としては、勝訴判決を得たり、裁判が和解で終結した場合は、債務名義を取得できますので、強制執行による回収が可能となることが挙げられます。

また、和解で終結した場合には、分割払や債務の一部免除といった内容も柔軟に設定できますので、債務者の自発的な履行が期待できます。

しかし、訴え提起から裁判終結まで、通常は1~2年程度かかるだけでなく、裁判所に提出する証拠(契約書類等)や法廷で証言する証人等の準備が必要となりますし、弁護士を依頼する場合には弁護士費用の負担も生じます。

少額訴訟

債権額60万円以下の金銭の支払請求を目的とする場合は、簡易裁判所に少額訴訟を提起することが可能です。

原則1回の審理で判決が言い渡されますので、簡易・迅速に債務名義を取得することができます。

しかし、被告が少額訴訟による審理に反対した場合や、少額訴訟判決に異議を申し立てた場合には、通常の訴訟手続に移行します。また、同一人が同じ裁判所で利用できる少額訴訟は、年10回に制限されています。

(3)強制執行手続

債権者の申立てに基づき、国が債務者の財産から強制的に回収を図る手続です。

強制執行を申し立てる際には、判決等の債務名義、債務名義が債務者に送達されたことを示す送達証明書や執行文などが必要となります。

強制執行の種類は下記の三種類です。

債権執行

債務者の預金債権や売掛債権等を差し押さえて回収を図る手続です。

裁判所からの差押命令が、銀行や売掛先等の第三債務者に送達されることによって、第三債務者から債務者への弁済が禁止され、送達後1週間を経過すると債権者が第三債務者から直接取り立てることが可能となります。

動産執行

債務者の保有する動産を差し押さえて、強制的に売却(競売)し、売却代金から配当を受けて回収を図る手続です。

貴金属等を除き、一般的に動産の価値は高価とはいえないため、差押債務者に対する心理的な圧力によって、自発的な弁済を促す効果を期待して利用することもあります。

しかし、生活必需品等の一部の動産については、差押が禁止されており、不動産と比較して、動産の換価が難しいこと等がデメリットとして挙げられます。

不動産執行

債務者の保有不動産を差し押さえて、強制的に売却(競売)し、売却代金から配当を受けることで回収を図る手続です。

不動産の価値は、動産と比較すると安定していますので、強制執行の対象物としては適しているといえます。

しかし、申立時に多額の予納金(数十万円程度)の納付が必要とされ、売却までに一定の時間がかかることや、不動産に銀行等の担保権が既に設定されている場合には、売却後に抵当権の対象債務を返済して余剰が生じなければ、配当を受けられないこと等がデメリットとして挙げられます。

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